松山市の取り組み

「坂の上の雲」のまち松山

愛媛県のほぼ中央に位置する松山市は、平成21年に市制施行120周年を迎えた歴史ある城下町であり、平成12年には中核市、平成17年には四国初の50万都市となるなど、県都として、政治・経済の中心として発展を続けています。
また、道後温泉に代表される「いで湯」のまち、正岡子規をはじめとする「文学」のまちとしても名高く、現在、子規やその竹馬の友、秋山真之らを主人公とする司馬遼太郎氏の代表作『坂の上の雲』によるまちづくりを進めています。
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松山市の水事情

気候は温暖な瀬戸内海気候に属し、災害等は極めて少ない一方、全国でも有数の少雨地域であり、渇水が危惧される10大地域に数えられることもあります。そのような条件のもと、石手川ダムと重信川流域の地下水という2つの水源により上水道をまかなっていますが、石手川ダムは毎年のように取水制限が行われており、また重信川流域の地下水についても、少雨が続くと著しく水位が低下するなど、人口50万人を超える都市として、その水源能力は非常に脆弱であると言わざるを得ません。
特に、平成6年の異常渇水では124日にも及ぶ時間給水を余儀なくされ、市民の日常生活はもちろん、医療や福祉といった人の生命に直結する現場まで様々な影響があったことから、これ以降、水資源対策を最重要課題のひとつとして位置づけ、節水型都市づくりがスタート、以来様々な事業に取り組んできました。
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節水型都市づくりの推進

現在、「最も安価で即効性がある節水を徹底するとともに、水資源の有効利用や保全策などあらゆる対策を講じた上で、それでもなお足らない部分については新規水源開発でまかなう」ことを基本スタンスに水資源対策を進めています。
また、節水型都市づくりは行政のみで推進できるものではないことから、平成15年には「節水型都市づくり条例」を制定し、市民・事業者・行政それぞれの役割を明確にするとともに、みんなが一丸となって渇水に強いまちづくりを進めることとしています。

 

 

これまでの取り組み

1)啓発事業
何よりも人の意識が重要であることから、啓発活動に重点をおいています。市民向けに「松山市節水ハンドブック」、小学生の節水学習副読本として「カッパ大王と一郎くん」という啓発冊子を作成しているほか、8月の水の週間に合わせて石手川や重信川で探検バスツアーを開催し自然や水の大切さ知ってもらうなど、できる限り多くの方に、日ごろから節水について考える機会を増やしていただく取り組みを実施しています。
また、市民から「水のへ絵はがき」を募集し、優秀な作品を活用したPRも行っています。

2)各種補助事業
節水意識を実際の節水行動に結びつける方策として、節水機器や雨水タンクの設置に対する補助制度を設けています。特に、節水機器は、「家庭用バスポンプ、バスポンプ付節水型洗濯機、シングルレバー湯水混合水栓への改造」といった、全国的にも珍しいメニューを設けており、機器の使用による実際の節水効果のほか、「水を大切に使う」という意識の醸成が図られているものと考えます。3)事業者への対策
平成17年度から「大規模建築物の節水対策に関する条例」を設けています。これは、1000立米以上の建築物を新築、または増築する場合には、節水計画書の提出に加え、節水型機器や雨水タンク等の設置を義務付けるもので、大規模な雨水貯留施設を設置した場合には補助金も交付しています。

4)市有施設での取り組み
行政として先導的な役割を果たすべく、利用者の多い施設を中心に、節水型機器や雨水タンクを設置しているほか、「坊っちゃんスタジアム」などの大規模な施設を新築・改築する際には、可能な限り大規模な雨水貯留施設を設置し、散水やトイレの洗浄水として利用しています。さらに、職員の節水意識の徹底にも努めており、市有施設全体の年間水道使用量は順調な減少傾向を示しています。

5)水資源の保全策
森は「緑のダム」との観点から、放置された竹林や森林を、保水力が高く維持管理もしやすい広葉樹に植え替える水源涵養林の整備に取り組んでいます。なお、この事業を進めるに当たっては、「松山市水源の森基金」を創設しており、多くの市民や事業者、団体の皆さんから寄付をいただくとともに、植樹等のボランティアにもご協力をいただいています。

6)新規水源開発事業
このような取り組みの結果、市民一人一日当たりの上水道使用量は、大渇水の前年の平成5年度には358Lであったものが、 26年度は281Lと、中核市の中でもトップクラスの少なさとなっており、目標としている300Lを達成しています。そのうえで、なお不足する水量を補えるだけの恒常水源確保(他水系からの分水)に向けて現在取り組んでいるところです。

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今後の取り組み

節水型都市づくりは、節水目標を達成したからといって、また仮に新規水源が確保できたからといって完結するものではありません。今後も基本スタンスを堅持しながら、市民や事業者の皆さんと一丸となって、節水型都市づくりを進めていきたいと考えており、節水の徹底はもちろんですが、これからは渇水対策としてだけでなく洪水や災害対策としても有効な「雨水利用」を推進したいと考えています。

 

松山市の雨水利用

雨水利用の取り組みとしては、市有施設への雨水貯留施設設置はもちろん、市民・事業者への助成制度や大規模建築物の新築等に雨水貯留施設の設置を義務付ける条例などがあります。中でも助成制度は、平成12年度の制度開始以来、より充実したものとなるよう改正を重ね、現在は経費の概ね3分の2、規模に応じて300万円まで補助しています。また、雨水利用に興味はあるが、具体的なことが分からないといった方のために啓発用リーフレットも作成しており、近年、助成制度の申請件数が増加傾向にあるなど、市民や事業者の関心が高まってきています。 p04

 

雨水楽舎との連携

こうした機運に乗ってより一層雨水利用を推進するため、平成22年8月5日・6日、「第3回雨水ネットワーク会議全国大会2010in松山」を開催し、2日間で延べ約1,500名のご参加をいただきました。
全国大会開催後は、大会を契機に設立された市民団体「雨水楽舎」と連携して環境イベントなどで啓発活動に取り組んでおり、今後は、雨水利用に関する調査・研究なども含めた幅広い活動を行っていく予定です。
こうした活動によって一人でも多くの方が雨水利用に関心を持ち、実践してくださることを期待しています。
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